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| 我が国でのマイクログリッドの意義及びその活用に向けて | ||||||||||
(株)テクノリサーチ研究所 代表取締役 内田 二郎 |
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1 マイクログリッドとは |
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| 最近、我が国においてもマイクログリッドが注目され始めた。一般的にマイクログリッドとは、一定地域内において、複数の多様な分散型電源をネットワーク化し、エネルギーを供給するシステムである。 より具体的には、以下の特徴を有する。 |
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| @ | 一般的に、複数の需要家が存在する特定地域を対象としたもので、コージェネや太陽光発電などの分散型電源と小規模電力供給ネットワークにより構成され、既存の大規模電力系統から独立して運転可能なオンサイト型の電力供給システム。 | |||||||||
| A | 既存系統との関係については、@完全に独立したタイプと、A1〜2点で連系し、マイクログリッド内での事故発生時など、電力が不足するような場合にバックアップ的に系統から融通を得るタイプがある。 | |||||||||
| B | また、限られた分散型電源により、高効率、高信頼度で供給するために、一般的にITを利用して複数の分散電源や負荷を総合的に制御する形態がとられる。
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2 マイクログリッドの登場の経緯と背景 |
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| マイクログリッドのコンセプトは米国で誕生した。米国西部では1996年に大規模な停電が発生し、安定的な電力供給を必要とするインターネット関連等のIT産業の発展もあり、電力系統の信頼性に対する関心が急速に高まっていた。 このように、米国におけるマイクログリッドの登場は、電力信頼性問題が背景にあり、このほか電力自由化に伴い大規模設備投資のリスクを分散型電源の活用により軽減すること、及び需要家のエネルギーコスト削減等のニーズもある。 欧州でも、EUのもとで、2003年1月からMICROGRIDSプロジェクトが開始された。本プロジェクトは、欧州のCO2 排出削減のため、欧州で急速に成長する風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入促進(再生可能エネルギーの系統への影響緩和、連系促進)を第一の目的とし、第二に、欧州全体の電力系統および電力市場の統合を睨んだ電力信頼性向上を目的としている。 一方、我が国では、2003年度から2007年度までの計画で、愛知、京都、八戸の3箇所においてNEDOからの委託による実証研究が行われている。 マイクログリッド誕生の背景を総括すると、以下の通りである。 |
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| @ | 地域によっては、既存系統の信頼性の低下により、需要家への安定供給のニーズが高まっている。 | |||||||||
| A | 需要の予想が立て難くなっている中で、建設までのリードタイムが短く、需要の変化に対応できる系統形態が求められていること。 | |||||||||
| B | 需要家におけるエネルギーコストの削減ニーズ。 | |||||||||
| C | 風力、太陽光発電などの自然エネルギーの有効利用と既存系統への悪影響の回避。 | |||||||||
3 我が国におけるマイクログリッドの意義 |
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1)社会にとっての意義 |
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@環境調和性 |
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| マイクログリッドは、再生可能電源の出力変動を他の分散型電源や電力貯蔵装置や制御装置によって吸収し、需要家に対する安定的な電力供給を可能にする。また系統連系している場合には、出力変動等に伴う系統への悪影響を緩和できる。このことにより、環境に優しい再生可能電源の普及促進に貢献しうる。 | ||||||||||
A地域活性化 |
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| 地域資源である再生可能エネルギーを活用したマイクログリッドは、既存のエネルギー供給システムや単体の新エネルギー電源に比べて、エネルギーの生産から配送、小売まで(供給から需要まで)を地域自らが発案・計画・実行する「地域エネルギー需給プロジェクト」として、地域の人材、技術、産業、コミュニティーを活性化しうるパワーを秘めている。 | ||||||||||
2)需要家にとっての意義・用途 |
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@電力品質の向上 |
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| 我が国の系統電力の年間停電時間は米国の1/10程度であるものの、電力品質を電力系統以上に高めることは可能であり、特にインターネット・データセンター(iDC)やインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)等のIT系企業、半導体工場、病院、研究機関等において高品質電力に対するニーズがある。ただし、既存のUPS等の品質対策システムに比べた場合のコストパフォーマンスの高低が鍵となる。 | ||||||||||
Aエネルギーコストの低減 |
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| コージェネレーションの導入による高効率なエネルギー利用、受電電力容量の削減等によりエネルギーコストを低減できる可能性がある。ただしその検証には定量的な比較分析が不可欠である。また単体のコージェネレーションとのメリット・デメリットの比較が鍵となる。 | ||||||||||
3)電力系統(及び分散型電源設置者)にとっての意義 |
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@再生可能電源の系統連系許容量の拡大 |
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| 風力発電、太陽光発電等の出力変動の大きい再生可能電源は電力系統に対して一定の影響を及ぼす。マイクログリッドは再生可能電源の出力変動を、他の安定的な分散型電源(ガスエンジン、マイクロガスタービン、ディーゼルエンジン、燃料電池)(モノジェネおよびコージェネ)や制御装置や電力貯蔵装置と組み合わせることにより吸収でできる。このような出力安定は、電力系統からみると望ましいことであり、再生可能電源の系統連系許容量の拡大につながる可能性が大きい。 | ||||||||||
A分散型電源の系統への悪影響の緩和、及び系統へのアンシラリーサービスの提供 |
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| 再生可能電源にかかわらず、分散型電源は系統連系および自家消費のために、パワーエレクトロニクス素子を用いたインバータ(及びコンバータ)を使用する場合が大部分である。これらは高調波を発生するが、マイクログリッドにより系統への連系点が減少したり、マイクログリッドの機能により高調波を抑制できるため、系統への悪影響を緩和できる。 また、マイクログリッドの系統連系装置や電源・電力貯蔵装置にVAR(無効電力)供給機能を付加することにより、系統に対してアンシラリーサービスを提供することも可能である。 | ||||||||||
4)事業者のビジネス面での意義 |
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@マイクログリッド関連ビジネスに参入する可能性の高い事業者 |
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| マイクログリッド関連ビジネスに参入する可能性の高い事業者として、以下が考えられる。 | ||||||||||
| i ) マイクログリッドを自ら構築して、かつエネルギー供給を行う事業者 | ||||||||||
| ガス会社、オンサイト事業者・ESCO事業者、自然エネルギー発電事業者、PPS(特定規模電気事業者)、一般電気事業者、特定電気事業者、熱供給事業者、その他(特定供給) | ||||||||||
| i i) マイクログリッド設備の製造 及び/又は 施工を行う事業者 | ||||||||||
| メーカ(発電設備メーカ、電力貯蔵装置メーカ、制御システムメーカ)、建設・設備施工会社、マンションデベロッパ等 | ||||||||||
| iii) その他 | ||||||||||
| 上記に関連するメンテナンスサービス企業、ソフトウェア開発企業、システム・インテグレータ等 | ||||||||||
A事業者のメリット |
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| 事業者のメリットとしては、以下が考えられる。 | ||||||||||
| i ) 新規顧客・需要家の獲得、売上の拡大 | ||||||||||
| i i) 環境対応(ISO14001、環境報告書、環境会計、CO2 排出権等) | ||||||||||
| iii) RPS法対応(一般電気事業者、PPS、特定電気事業者の場合) | ||||||||||
![]() 図−2 マイクログリッドの価値(日米欧比較) |
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4 マイクログリッドの導入に向けた基盤整備の方向 |
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| 今後、我が国において、マイクログリッドをエネルギー供給の効率化、CO2 削減に寄与する再生可能エネルギーの導入促進、災害時等の緊急対応への新たなエネルギー供給システムのツールとして位置づけ、その導入促進を図るには、以下のような基盤整備を図っていくことが不可欠である。 | ||||||||||
@マイクログリッド等の適用効果の定量化(評価) |
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| ・安定供給(供給信頼性) | ||||||||||
| マイクログリッド、個別の分散型電源、及び大規模集中系統における供給信頼性の比較・定量化や、信頼性にかかわる費用対効果に関する精密な検証 | ||||||||||
| ・環境への適合性 | ||||||||||
| マイクログリッド、個別の分散型電源、及び大規模集中系統に関する環境適合性やエネルギー効率に関する正確な評価 | ||||||||||
| ・エネルギーコストの低減の可能性 | ||||||||||
| マイクログリッド、個別の分散型電源、及び大規模集中系統におけるエネルギーコストの比較・定量化や、信頼性にかかわる費用対効果に関する精密な検証 | ||||||||||
Aマイクログリッドや分散型電源の遠隔監視・制御に関する標準・基準の検討 |
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| ・マイクログリッドに関する標準 | ||||||||||
| ・分散型電源の遠隔監視・制御システムの普及に備えた、分散型電源との通信に関する標準 | ||||||||||
Bグッドシチズンからモダンシチズンへ |
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| 我が国は現在、電力系統に悪影響を与えないグッドシチズン機能を重視した系統システム。単に系統に悪影響を与えないだけでなく、系統に対してVAR(無効電力)の提供等のアンシラリーサービスを提供することにより、能動的に系統に好影響を与えるシステムとしてアクティブに活用することが必要。即ち、今後、電力系統との調和、更に発展させて電力系統への貢献という観点で、海外のようなモダンシチズンへの移行を検討すべき。 | ||||||||||
C電力系統との一体的な運用 |
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| 我が国においても、電力系統に能動的に貢献するため、上流から下流までを含めた総合的な電力系統のあり方の中で、分散型電源やマイクログリッドの位置付け、具体的な実現像、及び系統との協調・補完関係を模索していくべき。 | ||||||||||
Dマイクログリッド間の広域ネットワーク |
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| 将来的には、マイクログリッド間で広域ネットワークを組むことにより、マイクログリッドが「点」としての導入から「面」としての導入へと発展させることが必要。これにより、自律分散型の最適制御により、コストメリット、環境調和性、及び電力系統全体の信頼性の向上に寄与することが期待できる。 | ||||||||||
このコンテンツは、ALIA NEWS Vol.89(2005.9)から、原文のまま掲載しております。 |
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