レンジフード使用時に玄関ドアが重くなる現象の解決策について
玄関ドアが重くなる現象について
現在、住宅業界では高気密住宅の割合が増加しています。高気密住宅では従来の家に比べて気密性が高いため、レンジフードを運転すると玄関ドアが開けにくくなるという現象が発生する場合があります。
これは室内が負圧状態(レンジフードが急激に室内の空気を屋外へ排気することで、室内の気圧が低くなること)になっていることが原因です。排気のみを行うと室内の気圧が下がり、すき間から空気が入ってくる等の現象が起こりますが、気密性が高い建物はそのすき間が少ないことで玄関ドアなどに室内側に働く力が強く掛かります。
ALIA 換気ユニット委員会が行った実験では C 値が約 0.4 ㎠/㎡相当の建物の場合、レンジフードを強運転で使用すると玄関ドアの重さが 60N※を超えることが想定されました。これは一般的にドアを開閉するのが困難な値になります。(※推奨される開閉力:30N以下)

画像引用:パナソニック株式会社
解決案について
①レンジフードの運転を中運転までにする
レンジフードを強運転ではなく中運転で使用することにより、排気風量の減少とともに玄関ドアに掛かる力を軽減することができます。
実験ではC値0.4㎠/㎡、24時間換気システム(第3種換気)稼働、レンジフードは同時給気無しという最悪条件時で強運転時:80N→中運転時:56Nと約24N※改善しています。
②レンジフードの同時給排経路の確保を行う
同時給排とは下図左のようにレンジフード本体内に給気の経路を設ける構造のことです。
この給気経路があることでレンジフードが運転している時に屋外から空気が入ってきて室内の負圧を軽減してくれる効果があります。
実験では同時給排によって強運転時に玄関ドアの重さが最大10~20N※軽減されることが確認できました。
同時給排のレンジフードには排気側だけでなく給気側にもファンを搭載し、室内に空気を送り込むタイプの商品(強制同時給排)もあり、より一層内外差圧を軽減することもできます。(下図右)


画像引用:パナソニック株式会社画像引用:富士工業株式会社
③差圧給気口を活用する
差圧給気口とはレンジフードの運転時に室内外に生じる圧力差によって作動する給気口です。
レンジフードの運転ですばやく給気を行い、停止時には不快な隙間風を防止するといった商品となっており、一時的な給気量の調整に活用される給気口になっています。ただしレンジフードの運転などと連動しているわけではなく、室内外差圧によって開く構造になっていることから、気密性が高い住宅では24 時間換気の風量でも開いてしまうこともあるようです。



画像引用:株式会社ナスタ画像引用:株式会社ユニックス画像引用:マックス株式会社
④レンジフードとの連動機器を活用する
レンジフードの運転と連動して運転時のみ開く給気電動シャッターを使用することも室内の負圧対策には有効です。




画像引用:三菱電機株式会社画像引用:株式会社ユニックス
また一部の高層マンションなどで使用されるレンジフードの運転速調と連動し、給気量を調整できる給気ダクトファンといった商品も強制同時給排同様、より一層内外差圧を軽減することができます。
※ALIAによる実験値になります